
システムエンジニアの仕事はプロジェクト毎に進みます。
達成感も挫折感も、良い事も悪い事も、楽しみも苦しみも、すべてプロジェクトの中で味わうものです。
プロジェクトマネジメントとは
ウィキペディアによると、
プロジェクトを成功裏に完了させることを目指して行われる活動のことである。
これにはプロジェクトを構成する各活動の計画立案、日程表の作成、および進捗管理が含まれる。システム開発を成功させるためには、プロジェクトを適切に管理することが求められる。
とあります。
どんな経験を積んだとしても、最後はプロジェクト成功で終わり、次のプロジェクトへと繋げていきたいものです。しかし、プロジェクトには、予定外の出来事や突発性のトラブルがつきものです。
なぜプロジェクトマネジメントにトラブルが頻発するのか、成功には何が必要なのか、そこには前提として考えるべき3つの観点があります。
- 過去の成功にこだわらず柔軟な対応を
- 人へ目が行き届く環境創りを
- 周りから積極的に支援を受ける
それぞれ解説していきます。
1.過去の成功にこだわらず柔軟な対応を
テクノロジーの進歩は、すなわち扱うツールの増加を意味しており、変化の速いIT業界のプロジェクトは、難易度が高くなっています。
これまでのプロジェクトの主流は業務の効率化でした。業務を効率化させるためにシステムを導入する、もしくは、コストダウンのためにシステムを導入するプロジェクトが大半でした。企業の中のITは、直接会社の利益を生むものではなく、間接部門としての役割でした。
ところが近年は、直接会社の利益を生むシステム構築が主流になってきました。インターネット・WEBの活用により情報システムは可能性を広げています。さらに、スマホやタブレットの普及により活躍の場も広がっています。
テクノロジーの進歩によってプロジェクトが難しくなるだけではありません。新しいテクノロジーを使うプロジェクトは、前例のない「新たな挑戦」となるため、これまでの成功法則が使えなくなってしまいます。
過去の成功体験にとらわれず、柔軟な対応が必要となるのです。
2.人へ目が行き届く環境創りを
プロジェクト規模が大きくなれば、プロジェクトに関わる人員も増えますし、チームのマネジメントは難しくなります。しかし、単純に人数規模の問題ではありません。
プロジェクトの難易度が上がり仕事量が増えると、「人」に対して目を向ける余裕が無くなってしまいます。プロジェクトでは、リーダーだけがメンバーに声を掛ければ良いものではありません。チーム全体でコミュニケーションが活性化しなければチームのパフォーマンスは上がりません。
個人の仕事量を守るために自分の仕事だけやればいいというセクショナリズム的な考え方になりがちなのですが、個人プレーだけでは上手くいきません。
プロジェクトで出る課題は、人の役割と役割の間で誰が担当かわからないところに数多く発生します。
野球で例えれば、内野と外野の間に落ちる「ポテンヒット」のようなものです。内野手が捕球するのか、外野手が捕球するのか声掛けが重要になります。
余裕を無くし、人に対して目が行き届かなくなりやすい状況を防ぐために、人を視て、チームメンバーと向き合うことが必要です。
3.周りから積極的に支援を受ける
プロジェクトは、自分たちで管理できる内的な要因の他に、どうすることもできない外的な要因によって計画を変更せざるを得なくなることがあります。この外的な要因をできるだけ少なくすることができれば、プロジェクトは影響を受けにくくなるはずです。
天災に近いような出来事はどうしようもありませんが、プロジェクトのすぐ外にある経営との関係は改善が可能です。うまく対応できなければ、経営者の鶴の一声でひっくり返る「ちゃぶ台返し」があったり、プロジェクトが周りの支援を得られずに孤立してしまうこともあります。
外的な要因からの影響を受けにくくするためには、できる限り外的な要因を味方に付ける必要があります。特に進行中のプロジェクトの上位概念を管轄する上司や経営者は味方になってもらい、しっかり支援を受けるべきです。
プロジェクトを成功に導くためにはプロジェクトの内側だけではなく、外側にも目を向ける必要があります。
まとめ
3つの大前提は、成功するプロジェクト運営に必要な前提条件となります。
特にプロジェクトマネージャーの立場から、3つの大前提を踏まえたチーム作りをしていけば、見えないプロジェクトと戦う準備が整うはずです。
プロジェクトマネジメントに関するノウハウだけを追いかけても上手くいかない理由があります。それは、プロジェクト運営に必要な大前提が抜けているからです。
具体的なプロジェクトマネジメントのノウハウが最大限に活きるためには前提条件を整えることが欠かせません。
今現在、リーダーの立場にある方は今すぐの実践を、将来リーダーの立場になる方は自分がリーダーになった時の実践を心がけましょう。