本当に現場で必要とされるPMOとは?PMOの役割とは?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
PMOの役割とは?

最近の大規模ITプロジェクトは、PMO(Project Management Office)の設置が必要と言われるようになりました。その背景には、複雑化するプロジェクトに対し、プロジェクトマネージャー(以下、PMと表記)だけではプロジェクトが回らなくなってきた現実があります。

そもそもPMOとは何なのか?本当に役に立つPMOの役割とは何なのか?について、現役PMOの方にお話を伺って内容をまとめてみました。

PMOとは何か?PMOの役割について

PMOという言葉は比較的新しく使われ出した言葉です。PMOの組織の中における位置付けはどのような立場なのでしょうか。

かつてのプロジェクトにはPMOという概念はありませんでした。PMO設置の背景には複雑化するプロジェクトの存在がありますが、今のところ、馴染みが薄いだけに誤解されている事も多いようです。ひとことにPMOと言っても、どのポジションにPMOを置くかで役割が変わります。

大きく分けて2つのパターンがあります。

  1. 社長や取締役などのプロジェクトオーナーの下に設置し、複数のプロジェクトのマネジメントを補佐する場合
  2. 個別のプロジェクトでPMの下に設置する場合

どちらもPMOですが、どのポジションに置くかが重要であって、ITベンダーなのかユーザー企業なのかは関係ありません。ITベンダーにもPMOが必要な場合がありますし、ユーザー企業にPMOが必要な場合もあります。ITベンダーまたはユーザー企業のどのポジションにPMOを置くかが重要です。

1番目の「PMOをプロジェクトオーナーの下に置く」場合は「社長室」としての機能がメインになります。戦略企画の領域が多くなり、ユーザー企業のPMOの場合は、必ずしもIT分野のプロジェクトだけを扱うわけではありません。戦略を左右するポジションですから、このポジションを任されるためにはある程度の経験が必要になります。役員を交えた会議へ頻繁に出席したりするので、役員会議の独特な雰囲気にも慣れる必要もあるでしょう。

2番目の「PMOをプロジェクトマネージャーの下に置く」場合は「PMアシスタント」としての機能がメインです。肝に銘じておくべきは、PMのサポート役に徹することです。PMがまだキャリアの浅い新人PMの場合もあるので、ベテランのPMがPMOの立場となり相談役としてアドバイザーになるなどのケースがあります。

どちらの立場のPMOだとしても注意しなければいけないのは、主役はあくまでもPMでありプロジェクトオーナーだということ。PMOは脇役であり参謀としての役割に徹することです。プロジェクト運営においてPMOが出しゃばりすぎてはダメです。「船頭多くして船山に登る」になってはいけません。

PMOの具体的な仕事は?どのような人員構成なのか?

では、1つのチームとしてのPMOは具体的にどのような仕事があって、どのような人員構成なのでしょうか。

PMOそのものが複数のメンバーから構成される1つのチームとなりますが、仕事の内容から大きく分けて3種類の役割に分かれます。

その3つとは

  1. 参謀役
  2. 推進役
  3. 事務局役

この3つです。

まず1番目の参謀役ですが、PMあるいはプロジェクトオーナーからの参謀としての相談窓口をつとめ、プロジェクト内でのルールを決めたり全体を見渡す役割を担います。PMOの中でも最上位の位置付けとなり、基盤、運用、アプリケーション、などに詳しくなくてはなりません。PMの立場で会話ができたり、相談役になったり、十分な知識を持っていることが求められます。

次に2番目の推進役ですが、実際にプロジェクトの推進を担う役割です。プロジェクトで決めたルールを守り、規律を持ってプロジェクトを前へと引っ張っていく役割です。グループリーダーの役割と言って良いでしょう。

最後に3番目の事務局役ですが、会議の日程調整や開催場所を抑えるなどの事務を担当します。「大事な雑用」ばかりなので決して軽視はできません。大きなプロジェクトともなれば、参加者の日程を調整して会議を開くだけで大変です。参加者全員のスケジュール確保や大人数が入れる会議室を抑えたり、想像以上に時間や手間が掛かります。これをスマートにこなすことが事務局役には求められます。

これらの3つの役割を担うため、PMOのチーム編成は、参謀役となるリーダー1名と推進役と事務局役を複数名配置していきます。推進役と事務局役は、プロジェクト規模により人員が決まるため具体的な人数は決められませんが、このような構成になればPMOとして機能するチームとなるでしょう。

PMOが必要なプロジェクト規模の基準は?

大規模プロジェクトのみに必要なイメージがありますが、PMOが必要な規模の基準はあるのでしょうか。

PMOを導入するメリットの1つは効率化です。例えば、ムダな会議を減らしたり、明らかに重複するタスクを統合したり、冷静な第三者のアドバイスが効率化を実現します。効率化によりコスト削減ができるかどうか?がPMO導入のひとつの指標となります。例えば、全体で1年以上かかるプロジェクトならば、大規模と言えますし、複数のチームが動いて重複するタスクなどの問題も出てきます。このようなプロジェクトならばPMO導入のメリットは十分にあるでしょう。

PMOに求められる人材について

実際にPMOになるためには、どのようなスキルが必要なのでしょうか?

参謀役までを務めるPMOのリーダーになるためには、プロジェクトマネージャーの経験が必要だと言えます。しかし、プロジェクトマネージャーに限らず、リーダーとして人をマネジメントする経験があれば、その経験はPMOとして十分に役に立ちます。

リーダーとして人をマネジメントした経験の他、「気配りができること」が重要です。気配りとは、言い換えると「全体を見る目」です。全体俯瞰と言ってもいいでしょう。

気配りができる、全体を見る、ということがPMOの仕事に付加価値を与え、プロジェクトの改善を生み出します。

例えば、プロジェクト内で使うExcelで作った進捗報告のためのドキュメントフォーマットを用意するとします。ダメなPMOは「ドキュメントを用意したから記入してください」で終わってしまいます。しかし、良いPMOは、いかにメンバーの負担を最小限に抑えてドキュメントを記入してもらうかを考えます。ですので、Excelフォーマットの中に自動で日付が入るような関数を加えたり、自ら考えて行動することができます。何も考えず、作業を右から左へ流してしまう人はPMOには向かないでしょう。

進捗報告などの入力作業は現場に負荷を強いるので、できるだけ受け入れられやすい形にする工夫が必要です。プロジェクトメンバーからすれば、PMOからのドキュメント記入の指示は「忙しいのに負荷ばっかり増やしやがって!」と反発したくなるのが自然な流れです。

当然、お願いする作業をやってもらう「上手な伝え方」も必要となります。プロジェクトの現状がこのような状況で、なぜこのドキュメントが必要なのか、どのような協力が欲しいのか、現場に説明できる上手な伝え方が求められます。

他にもダメな例を挙げると、ある程度経験を積んだベテランに多い傾向ですが、自分自身で作ったルールにこだわるというのも典型的なダメな例です。自身の成功体験や「こうすべきだ」という意見を押し通したり、プロジェクトの士気を下げるような発言で伝えてしまうのがダメなのです。

自分にとって確かなルールであっても、大勢が関わるプロジェクトの中でも同様に必要かどうかも分りません。難しいプロジェクトは過去の成功体験がそのまま通用しないものが多いので、必要以上に過去にこだわると失敗します。自分のルールを意見として伝えるにしても、最初に言うなど順番に注意しなければいけません。「正論の後出しじゃんけん」や「正論でのちゃぶ台返し」はプロジェクト全体の士気を下げてしまわないか十分な注意が必要です。

PMOに求められるスキルは、マネジメントの経験だけでなく、気配りと全体を俯瞰する力です。

PMOになるためのキャリアプランは?

現場のPMまたはSEからPMOへ転身するキャリアプランについて考えてみましょう。

PMOになるには資格は必要ありません。PMBOK(Project Management Body of Knowledge)の概要を抑えておく程度で十分です。高いITスキルが一番大事というわけでもありません。上記で述べたように、気配りができ全体を見ることが適正としては最も重要です。

現状では、ベンダー企業側で率先してPMOを育てようとする土壌はまだ十分とは言えません。ベンダー企業からすればPMOよりもPMの方が不足しているというのが現実的な問題でしょう。しかし、今後はPMOの必要性が求められ、SEやPMからPMOへキャリアアップさせることも当然ありえます。推進役や事務局役からキャリアをスタートしてもプロジェクトマネジメントを勉強しながら参謀役にまでなることも十分可能となるでしょう。

ユーザー企業側も、PMOを育てようとする土壌はまだ十分とは言えません。ユーザー企業の場合、社内のIT部門がプロジェクト運営を担う場合がほとんどですが、PMOどころかプロジェクトマネジメントそのもののスキルが不足しており、ITベンダー出身の中途採用社員を雇うなどで補う傾向にあります。

転職を視野に入れている場合は、IT系の転職サイトに無料登録して調べてみると良いでしょう。非公開案件の中にPMOが含まれていたりします。

マイナビエージェント×IT

フリーランスの立場なら、ユーザー企業側のPMOになることも可能です。フリーランスのコンサルタントという位置付けになりますが、必ずしもコンサルティングファーム出身者でなければフリーのコンサルタントになれない訳ではありません。現場SEとしての経験があれば、その実績を評価してくれるユーザー企業も少なくありません。フリーランスからのPMOも十分ありです。

フリーランス案件を調べる

まとめ

PMOの仕事をひとことで言い表すならば、「リンクマン」と言えるでしょう。プロジェクト内部やプロジェクトを取り巻く環境とを繋ぎ、リンクさせることでプロジェクトの運営を助けるのです。大規模なプロジェクトはチームも複数に分かれ、お互いの連携が取りにくくなります。経営を取り巻く外部の環境変化がプロジェクトの方向性に大きな影響を与えるため、プロジェクト内部だけを見ていれば良いわけでもありません。様々なものを繋ぎリンクさせるのがPMOの本質ではないでしょうか。

今や、中規模から大規模のITプロジェクトではプロジェクトマネージャーだけではプロジェクトは上手く運営できません。時代に要請される形で登場したPMOですが、まだ歴史は浅く、その実態が見えていないのが現状です。PMOに興味が湧いた!という方は、キャリアプランのひとつの選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

PMからPMOへキャリアプランを描く

今現在、PMとして十分な経験を積まれているなら、マネージャークラスの転職に強いエージェントからの案件紹介が有利です。


ハイクラスを扱う転職エージェントが持っているITコンサルタントの求人にPMOが含まれていたりするので要チェックです。


参謀役としての役割に興味がある方は、プロジェクトマネジメントの経験を活かしPMOにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?



 


システムエンジニアラボラトリーでは無料メルマガ会員を募集しています。


もれなく「失敗ITプロジェクト事例集」が無料ダウンロードできます。


無料メルマガ登録はこちら

SNSでもご購読できます。

スポンサーリンク

コメントを残す

*