
日本のIT業界の構造は「ITゼネコン」とも揶揄されるように元請け、下請け、孫請けの多重構造を形成しています。
大規模開発案件はもちろん、中小規模の開発案件であってもITベンダーがコーディングを外注するのが当たり前なので、同様の多重構造になります。
この多重構造の中で働くエンジニアが「IT土方」となってしまいます。IT土方の立場から経験するデスマーチは本当に苦痛です。
IT土方の立場にあるシステムエンジニア(SE)やプログラマーがどうやってそこから抜け出すかについて、3つのぶっちゃけた方法から考えてみます。
IT土方を抜け出す3つのぶっちゃけ手段
- その1 辞める
- その2 上流工程へ進む
- その3 突き抜ける
その1 辞める
最も単純で強力な方法です。その仕事を辞めるという選択。ただし、辞めるにしても種類があります。
辞めてまったく違う業界で働くようになるのか、より良い環境を求めて転職するのか、フリーランスになるのか。
とにかく環境を変えることが最も手っ取り早い方法です。
もしも簡単に辞めさせてくれないブラック企業だとしたら、外部の相談機関などを活用しながら、あらゆる手段を使って目的を達成すべきです。
辞めるという行為は単純かつ強力な手段ですが、収入の問題や世間体の問題などの現実的な問題に直面します。しかし、それらは単に思い込みや固定観念でしかない場合がほとんどです。
無理にやりたくない仕事に留まるよりは、はるかに健全であるし、思い切って行動した結果は、意外と何とかなるものなのです。
その2 上流工程へ進む
上流工程の担当へ進めばある程度の状況は改善されます。
よくあるキャリアアップの王道である、プログラマーからSEになり、プロジェクトマネージャーになるパターンも該当しますし、広い意味で捉えれば、社内で出世することも、ここに該当します。
IT業界の場合、色々な経験が積めるので複数回の転職はそれほど不利にはなりません。上流に位置する会社へ転職するのも一つの方法です。
ただし、上へ進む間は、中間に位置する期間はどうしても上と下の板挟みで苦しんだり、そもそも上流へ進むまでに時間が掛かるなどの問題もあります。
上を目指すということは、ある意味一番安定した選択かもしれません。会社勤めを続けるということは、出世欲が無くても出世競争に巻き込まれます。給与があるというメリットを活かしつつ、中長期的な視野を持って戦略を立てることが可能です。
その3 突き抜ける
スキルを極め、突き抜けるという意味で、フリーランスになるという選択肢もあります。
誰もが認めるスキルがあれば、フリーランスでも現場で主導権を握ることが可能です。
技術で「伝説の傭兵」レベルになることもありなのです。
例えば、いざフリーランスのプログラマーになるとしたら、自分のスキルに対する不安や収入に対する不安もあるかもしれません。
誰かから頼まれた興味のないプログラムを書くよりは、自主的に自分の時間を使いながら、自分の好きなプログラムを書く方がスキルは格段に身に付きます。
フリーランスになって成功するか失敗するかは問題ではありません。失敗したとしても目的のために行動したことで得た経験にこそ価値があります。誰もが目指しても良いということを知る事が大事です。
まとめ

横への移動(X)か縦への移動(Y)か奥への移動(Z)か
IT土方を抜け出すには環境を変えるしかありません。
その方法は、横への移動(辞める)か縦への移動(上を目指す)か奥への移動(突き抜ける)のいずれかであり、とてもシンプルなものです。
取るべき行動はシンプルなのに、忙しさのあまり「考える余裕」を持てないと行動ができなくなります。
そして、固定観念や思い込みといった「長年刷り込まれた常識」が邪魔をしますが、これに打ち勝つ必要があります。
勇気を持った初めの一歩は「自分で考えること」です。そのためにはIT業界全体を知ることが大事であり、全体を俯瞰する大局的な視点が必要です。その中で自分はどうあるべきかを考えましょう。
僕自身も、正社員としてのSEや、フリーランスのSEという立場でITプロジェクトに関わった経験がありますが、社内の人間かどうか・下請け業者かどうかという扱いが暗黙的に存在し、多重構造のヒエラルキーを体感しました。
IT土方から抜け出すにはITエンジニアとしての自立が絶対に必要です。
たとえITゼネコンの構造そのものを覆すことが難しくても気にする必要はありません。ITエンジニア一人一人の行動が最初は小さなインパクトであっても、やがて大きな主流となるよう最も身近な自分から行動していくことが大事です。
まずは自分を知り自分を大切にすること。そこから始めましょう。
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