
あなたはIT業界と聞いてどんなイメージを持ちますか?
色々なイメージがあるかと思いますが、ダントツでネガティブなイメージといえば長時間労働でしょう。
なぜIT業界は長時間労働なのか?7つの原因から解き明かします。
1.見えないモノを創る仕事
IT業界は大きく分けて業務系ITとWEB系ITに分かれるのですが、どちらにも共通して言えるのは、目に見えないモノを創るという点です。
もちろん、画面サンプルなど目に見えるモノはありますが、実際は目に見えているのは氷山の一角であり、目に見えない部分をひっくるめて一つのシステムを形成します。そして、目に見える部分よりも目に見えない部分の方が圧倒的に重要だったりします。
見えないモノを創るということは、顧客との意思の疎通が難しく、暗闇を手さぐりで進む状況にも似ています。見えないモノに対して顧客と合意を得ることは、それなりの工夫がなければ最初から難しいわけです。そうなると、上手くまとめるためにどうしても時間が掛かってしまいます。
2.業界全体が「こんなもの」という諦め
IT業界は長時間労働が当たり前だから、「こんなもの」という諦めの空気があります。
慣れというものは恐ろしいもので、毎日終電の生活が続くと、22時に退社したときに「あれ?今日は早いぞ!帰って何やろうかな?」とか普通に考えてしまいます。22時退社でも一般的には遅いんですが、すでに感覚がマヒしています。
上司や先輩が「こんなもの」という諦めの空気を創るので、新入社員も巻き込まれていきます。現状が当たり前だと感じた瞬間に改善の意欲は無くなってしまうのです。
3.自分自身の効率化に消極的
「紺屋の白袴」ということわざがありますが、ITそのものは業務の効率化が得意なのに、ITを提供する企業、特にSIerは自社の効率化に消極的です。
背景には、顧客企業をITで効率化すれば売り上げになるが、自社の効率を上げても直接の売り上げにはならないという売上偏重の傾向があります。自社の業務改善は間接業務になるので、ここに注力するかは経営方針にゆだねられます。
業務の効率化は、自動テストツールなどのツール類があるのですが、使えるケースが限られていたりして、全体で見ると業務効率に大きく貢献できていないのが現実です。
4.急激に組織が大きくなり仕組みが追いつかない
WEB系IT企業に多いのですが、イケイケで企業が大きくなろうとする時、仕組みが追いつかなくなり、個人が何でも仕事を抱え込まざるを得ない状況になります。
この時、企業は人材の大量採用に踏み切りますが、人材の教育が追いつきません。OJTとは名ばかりの放置プレイが横行するだけでなく一人で何役もの役割をこなさなければならない為、どうしても仕組みが追いつかなくなります。
社内ルールや仕組みを見直す暇がないので、この時期に放置されていた慣習などが効率が悪いまま残り続けることもしばしば。
5.24時間止まらないシステムが当たり前になった
WEBの普及により、24時間365日止まらないシステムが当たり前になりました。
さらに携帯電話を持つことも当たり前になったので、夜間の緊急トラブルなどで、夜中に携帯電話が当然のように鳴り響きます。トラブル発生のタイミングは読めません。夜中にたたき起こされるのは勘弁願いたいところ。障害ばかり生むシステムのお守を任された場合、休日も夜間も落ち着けません。
6.仕事が属人化しやすい
ITの専門的スキルを突き詰めるとき、役割分担が欠かせません。自分の担当する役割を持ち、責任を持つことになると、いつの間にか「自分しかできない仕事」を抱えている状態になってしまいます。
「自分にしかできない仕事」があることは素晴らしい事のように思えますが、組織的な観点で見ると良い事ばかりではありません。あなたがどうしても会社を休まなければならない時「自分にしかできない仕事」によって休むのを躊躇する場面もあるでしょう。
組織的に見ても専門スキルがひとりに一極集中することはリスクなのです。少数精鋭とは聞こえも良くメリットばかりのように思われがちですが、少数精鋭の「少数」が居なくなれば、とんでもないリスクなのです。
7.欧米輸入のITが日本にフィットしない
もともとITとその管理概念であるプロジェクトマネジメントは、海外から輸入されたものです。そして、日本と海外で前提が違うのは会社の雇用体制です。
日本のIT技術者はほとんどがITベンダーに就職しますが、逆に、アメリカのIT技術者はほとんどが一般のユーザー企業に就職します。アメリカでは終身雇用がないので、プロジェクトごとに技術者が流動的に動く雇用形態になっています。
このような前提の違いがある中で、「プロジェクトマネジメント」は完全にはフィットしません。「プロジェクトマネジメント」は一般ユーザー企業にIT技術者がいる前提なのですから、微妙なニュアンスの違いがあるわけです。
海外からの輸入であるプロジェクトマネジメントをそのまま使っても余計な仕事が増えるだけという可能性があるのです。
まとめ
7つの視点から、なぜIT業界は長時間労働なのか?を解き明かしました。
原因が分れば対策を立てられるもの。個人で出来る取り組みや組織でしかできない取り組みもあるかと思います。大事なのは、現状を知り、それを受け入れて、今後どうするか?です。忙しいのは仕方がない事ではありません。今できる対策をきちんと考えましょう。
最後に・・・今がめちゃくちゃ忙しいあなたへ
忙しさの限度を超えると、自分で思考することができなくなります。
このような思考停止状態は危険です。良い悪いの判断ができなくなり状況にただ流されてしまいます。
絶対に思考停止にならないようにしましょう。大丈夫です。道は必ず開けます。
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