
超ベテランのシステムエンジニアの方と一緒に仕事をしていると、メール文だろうがExcel資料だろうが、すべてのカタカナ文字が半角カナ表記になっていることに気付きました。
なぜ半角カナを使うのか?そもそも半角カナはなぜ存在するのか?その理由について考えてみます。
半角カナの歴史
半角カナの存在は、昔のコンピュータの名残りです。
アルファベットはすべて半角で表示できるので、全角は存在しませんでした。全角のない時代に日本語表記をどうしようと考えた結果、半角のカタカナを使って表記することになりました。
半角カナはあるのに、半角ひらがなや半角の漢字はありません。これは、半角という限られたスペースの中で複雑な造形をしているひらがなや漢字を表現できないからです。(一部フォントには半角ひらがなのフォントがあるものの、文字コードとしての半角ひらがなは存在しません。)
扱う情報の単位で言うと、半角は1バイト文字、全角は2バイト文字です。
コンピュータの性能が低かった時代、少ないデータ容量を扱うことが求められました。データの伝送でも、容量が増えれば金銭的なコストや伝送時間が増えるので、できるだけ少ないデータ量をやりとりしたい背景がありました。そんな中、半角カナの存在は必然だったわけです。
こうして誕生した半角カナですが、インターネット黎明期には「半角カナは使ってはいけない文字」として扱われました。
これは、半角カナの規格にメーラーが対応しておらず、メールの文章が文字化けしてしまうという理由がありました。
今では技術的に半角カナを禁止ということはありませんが、とにかく見にくいという理由で敬遠されがちなのです。
今なぜ半角カナを使うのか
昔の性能の低いコンピュータを知る超ベテランのシステムエンジニアの方々は、データ量を少しでも減らすために「半角カナを使う」ことがクセとして染みついていました。これがメール本文もExcel資料もすべてのカタカナ文字が半角カナ表記になっている理由でした。(ご本人談 笑)
見やすい見にくいの問題ではなく、データ量を削ることを最優先とした表記だったのです。たった数バイトの削減であっても、データが増えれば削減できる量もアップします。データ量を削るのは、その当時からすれば非常に重要な課題だったと思われます。
今では文字のデータ量をそれほど気にする必要はありませんが、文字のデータ量云々の話から見た目の見やすさの話になってきているので、環境が豊かになり、問題の観点が変わってきたとも言えます。
他にも半角カナを使う理由を挙げるとすれば、「入力できてしまうから」という理由もあるかもしれません。
WindowsのPCであればF8キーを押せば、半角カナ変換が出来てしまいます。
他にも、わざと読みにくくするために半角カナを使う場合もひょっとしたらあるかもしれませんが。。。
半角カナが活躍する場所
今でも半角カナが活躍できる場所ですが、探せばあります!
例えば、銀行の預金通帳に印字される取引明細や、お店のレジからでるレシートの印字などです。これらは、昔の半角カナが使われていた頃のシステムを踏襲して稼働しているか、狭いスペースに情報を記すために半角カナを使っているかのどちらかです。
今でもシステム開発の現場では、画面設計などで文字の入力項目の最大入力桁数を決めるときに「半角で40文字、全角なら20文字・・・」のような会話があったりします。
半角カナは必要なくなったのではなく、システム開発の現場では「狭いスペースに情報を盛り込む」ために今でも現役バリバリで使われているのです。
まとめ
半角カナの成り立ちから、現在の使われ方まで考えると、半角カナの存在はなくなりません。
半角カナだけではなく機種依存文字など、文字に関する課題は実は多かったりします。Windows、Mac、UNIXなど、もともと違うものが連携して繋がることができる現在、その裏側では「文字コードがー!」「文字化けがー!」といったエンジニアの悪戦苦闘があります。
昔のクセで半角カナを使い続ける超ベテランエンジニアに対しても「時代に合わせて全角使ってくれよ・・・」と思いつつもデータ量を減らすことにしのぎを削った時代を知る歴戦の勇士という見方をすれば、見る目も変わります 笑
見ずらい!見にくい!の半角カナですが、ちょっと視点を変えてみると興味深い歴史がありました。今後とも半角カナをよろしくお願いします 笑。